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57話 店を従業員に任せて他の町へ行ってみたい

Auteur: みみっく
last update Dernière mise à jour: 2025-08-13 07:00:21

「さて――二人とも、今から働いてもらいますからねっ」

「「はいっ!」」

 元気よく返事をする二人に、俺は異次元収納の使い方を教えた。空間が歪み、吸い込まれるように物が消えていく様子に、二人は目を見張っている。売上金もその中に入れてもらうようにして、必要なときに俺が補充や確認ができるようにする。

 そして――給金の話。

「給料は月に一回。初めに聞いた通り、金貨一枚ずつで」

 そう言った瞬間、二人はぴたりと動きを止めた。

 ……ん?なんで固まってるの?安すぎた?それとも高すぎた?俺が困っていると、デューイがそっと耳元に顔を寄せてきた。

「……払いすぎです。店の店員の給金ではありませんよ。それ、王国の役職持ちの給金レベルです」

「……あ、そうなんだ」

 でも、まあ――

「役職付きだった大隊長を雇うんだから、二人はそれで良いんじゃない? その分、しっかり働いてもらうよ。店の護衛や品出しとかね」

 俺はニヤッと笑ってみせた。特に理由はないけど、なんとなく言ってみたかっただけだ。女性護衛は顔を赤くしながら「……はいっ」と答え、デューイは苦笑しながら「……了解しました」と頭を下げた。

 ――うん、いい感じだ。

「では……有り難く頂いておきます。出来ることなら何でもやりますので、何でも言ってください」

「……有難う御座います」

 真剣な表情で頭を下げる女性護衛に、俺も思わず頭を下げ返した。

 ――いや、でもさ。

 メイドさん……話が違うんですけど……?金貨一枚って、そんなに高かったのか?こっそりミリアに聞いてみると、どうやら帝国と王国では、貨幣価値に多少の差があるらしい。

 ――それ、先に説明しておいてよ。

 まあ、今さら言っても仕方ないか。お金を扱う以上、信用してい

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